ウォークマンsシリーズの付属イヤホンの話

使っていたウォークマン(NW-S754)がもうバッテリーは死亡寸前、容量も足りなくなったので買い換えようと思ってウォークマンsシリーズ(NW-S315)のビビッドピンクを購入しました。
巷のレビューでは機能も以前より減ってaシリーズがより安価になったことで散々な評価になっていましたが、それでもイヤホン付属でと思うと5000円くらい違うので「音質にこだわりがあるわけじゃないし、どうせ通学中にしか使わないから安い方でいいや」とsシリーズにしたわけですが。

イヤホン無しのaシリーズにしておけばよかったなあ。

まずクリアステレオがなくなったのが少し気になりましたが、以前バッテリーのもちが悪くなった時に気休めにオフにしていたのでまあいいとして。
一番の目的は付属のイヤホンだったんです。
付属イヤホンは評価が分かれるところではありますが、私は結構気に入っていて一度断線した時に高いと思いながらも買いなおしたくらいです。
買いなおしたものがまた断線(扱いが悪い)した時に、本体もそろそろ買い換えたいからと800円くらいであの低価格イヤホン界では知らない者はいない、PanasonicのRP-HJ-150を購入し、今まで使い続けてきました。

で、本体を変えるならイヤホンも一緒についてくるじゃーんやったね、とイヤホンを変える気満々だったんですよこっちは。

結果、Panasonicの方が良かった。

前より音質悪くなってないですか?これ。新品だから?それにしては低音がほとんど聞こえないんですけど……。
試しに断線したイヤホンがとっておいてあったので聞き比べてみましたが、明らかに前の方がいいですよ。使ってるうちに慣れてくるかなあ。
なんか全体的に音が浮いた感じで、軽ーく聞こえてしまうんですよね。とりあえず前のイヤホンを使い続けます、ベース命なので。

とはいえ、つなぎで買ったにしては相当良かったことが判明したパナソニックイヤホンも遮音性がどうもイマイチとか、タッチノイズが気になるとかあるので3000円くらいのコスパ良さそうなイヤホンを買うことにします。今気になってるのはMUIXのIX3000です。低音が聴きたいといいつつクセがない音質のものがいいなと思ったので。イヤホンがこんなになってると分かってたらaシリーズ買ったのにな。残念。
本体に関してはプレイリストをシャッフルで聴ければ事足りるんですけど、ボタンを押したときの反応が微妙に悪いのも気になるところです。その微妙に悪いのがすごく気になるんですよねえ。音質とかいう以前の問題ですよね。

ちなみにパナソニックのイヤホンはイヤーピースをソニーのあれに変えてます。付属のイヤホンのやつ。今回買ったのでまた増えて大量のイヤーピースを持て余しています。Mサイズしか使わないし。

余談ですがMusic Center for PCは前のUIで良かったというか、xアプリは表示件数が多くて良かったんだけどなあという感想。曲数がとにかく多いからたくさん表示してほしいんですよ。

あやかしごはん感想(ネタバレ無)

普段滅多にゲームを買わないのですが、今回ばかりはどうしてもやりたくて買いました、「あやかしごはん」

「おいしいごはん食べればみんな『幸せ』」というキャッチフレーズの通り、おいしいごはんを通して様々な人、そしてあやかし達と交流を深めていく乙女ゲームです。レーベルはhoneybee。大手ですね。
プレイした感想としては、とても心温まる幸せなお話でした。ほぼ各ルートほっこりさせられて、結局みんな大好きになってしまいました。もう出てくる人がモブに至るまでみんな良い人ばかりなんですよ。田舎の村とはいえこんな優しい世界があっていいのだろうか。

このゲームは少女編、人間編、あやかし編に分かれていて、幼女へ……少女編の選択肢によってその後の主人公の性格が変わるというシステムになっています。おとなしい主人公が好きな人も明るく活発な主人公が好きな人も楽しめますね。私は幼女編の主人公ちゃんが好きです。
攻略キャラは全部で6人。個人的には吟さんが攻略対象じゃないことにまずショックを受けました。まあ既婚者で子供もいるから仕方ないよね……。

プレイ前に気になっていたキャラは断トツ浅葱くんでした。プロフィールは全部???だし、儚げ美少年のCV.石田彰で何もないわけがないですよね、お察しください。プレイ後はがかなり株上がりましたね。とにかくかわいい~~~!!!も想像していたよりもずっといい子だったし、萩之介は意外とガンガン来るし、蘇芳は一番心がぽかぽかした。真夏さんは思ってた10倍くらい重かったですね。でもやっぱり一番好きなのは浅葱くんでした。彼はネタバレの塊なので語りづらいのですが、あれで他の男を選べなんて私には無理です。身長くらい教えてくれよ浅葱くん。

絵も綺麗で素敵でした。キャラデザや立ち絵、スチルなどは乙女向け界隈でよく描いていらっしゃるカズアキさん。SDキャラはあやのもちさんです。大感謝。スチルはパッケージに載っている蘇芳のやつとかお気に入りです。あと浅葱くんの激カワスチルで死にました。どうもありがとうございます。SDキャラのスチルもコミカルでかわいい。ちょっとヒョエ……となるシーンもあやのもちさんのおかげで楽しくプレイできました。SDキャラの浅葱くんがまたかわいいんですよ、あのにぱーっとした笑顔。本編でも……。

おまけまで充実していて良いゲームでした。全員やってほしい。FDもポチリました。どうしても浅葱くんと海に行きたかったので。
ネタバレなしの感想は以上です。ネタバレ感想は別記事で書こうと思います。あやかしごはんはただのほっこりごはんゲーじゃない。

日本語が読めるうちに泉鏡花を読んでくれ。

気が向いた時に自由に推したいものについて書き殴ろうというコンセプトにならないコンセプトの当ブログです。

今回はぐっと文化的に見えそうなテーマですが内容は大して変わりません。文豪について駄文で語る畏れ多い事態ですが見逃してください。毒にも薬にもならない記事を目指してます。


皆さんは泉鏡花という作家についてどの程度ご存知でしょうか。最近は文豪もイケメンになってゲームやアニメになっていますが大体泉鏡花のキャラクターはいます。名前がかわいいからだと思ってますけど、それはさておき現代でも色々な場所で目にする日本を代表する文豪のうちの一人ですよね。しかしこんな記事を書くことになった私も少し前までは大体可愛い見た目にされる人という程度の認識しかありませんでした。なんか高野聖とか教科書に載ってたけど扱わなかったなあとか、太宰みたいに思春期に通りがちな作家(馬鹿にしてないです私も読みました)というわけでもないし、芥川とか漱石とかみたいにキラキラメインストリートという印象もなぜかない……彼らがメインストリートかは知りませんが。いや泉鏡花も王道ですけどね?!教科書に載るくらいだし。でも敢えて鏡花を読もうとかいう気になるのってよっぽど本が好きな人だと思います。今泉鏡花にハマってるんだ!とか言っても「あっ…そうなんだ、私はよく知らないけど」みたいな反応をされそうですよね。あとは二次元の話だと思われるかですよね。偏見すみません。

でも私は泉鏡花を推したい……。日本人に生まれたからには、日本語を母語に持ったからにはぜひ鏡花を読んでほしいと思うんです。


泉鏡花という作家の面白いところって、独自の作風で同時代の作家たちとはちょっとズレた地位にいるというか、まあよく言われることではあるんですけど、とにかく立ち位置が特殊なんですよね。ジャンル的な意味でも、系譜としてもですが、幻想文学の先駆者で、昭和のアングラ文化にも繋がっていくような感じがあるというか。その一方で泉鏡花に影響を受けた作家はものすごくたくさんいて、三島由紀夫が鏡花を絶賛している文章とか面白いんですよ。私は三島由紀夫がめちゃくちゃ推してるのを読んで興味を持ったくらいで。幻想文学ではない作家でも鏡花が好きとか影響を受けたとかいう人が多いのはすごいなと思うんです。まあ文豪って大抵そういうものですけど、ジャンルを超えて愛されるというのは並大抵のことではないですよね。


文字ばかりで疲れてきました。画像を入れたい……。
泉鏡花の文章について勝手に語ります。特に専門で研究をしているわけではないのでとてもいい加減です。絶対に鵜呑みにしないように。

まず鏡花の作品は文語体のものと口語体のものがあります。文語体の作品は台詞は口語なので正確には両者の混合ですが面倒なので文語体ということにします。完全文語体の作品はあるのかな?知識不足ですみません。
文語体は少し敬遠しがちかもしれません。舞姫とかどう考えても古典だろと思ってました。入り口として文語体の作品を選ぶのはそんなにオススメしません。好きなものから読むのがいいと思いますが、あえて選ぶ理由はそんなにないかと。あと戯曲もこれまた特殊なので普通の文学として楽しむなら小説から選ぶのが無難でしょう。
鏡花は短編もたくさん書いています。いきなり長編よりは短編で文体に慣れたほうが読んでいきやすいです。短編って気軽に読めるから結果的に量も読みやすいと思うのでもっと流行らないかな。
鏡花作品でよく言われる幻想的で独特の文体というのは大体口語体の文章を指していると思います。ていうか文語体で独特とか言われてもよくわからない。
私が読んだ感想では、読点が多くて句点が少ないな、と思いました。読点で区切られるリズムの良さと、それらがひとつながりになって流れていく文のうつくしさが読んでいて心地よいです。鏡花本人も文章のリズムや言葉の音というのはかなり意識していたようで、”水には音あり、樹には声ある文章を書きたい”と『おばけずきのいわれ少々と処女作』というエッセイで語っています。

鏡花作品は内容がどうというより言葉の美しさに浸るものだというようなことを確か三島由紀夫が言っていたと思いますが、本当にその通りだと思うんです。内容は掴みどころがなくて不思議な雰囲気のものが多いし、結局よくわからんな……っていう感じだったり、何度も読まないとわからなかったりするものが多いんですが、文章がひたすらに綺麗で、うっかりすると向こうに引きずり込まれてしまうような引力があるんですよね。中島敦の『鏡花氏の文章』はこれまた面白いんですけど、泉鏡花の文章の持つ魔力みたいなものを非常にわかりやすく書いています。べた褒めじゃないですか……。もうこれ読んでもらえれば敢えて私が述べる必要もないんですが。

初めは読みづらいし、内容もよくわかんないし、なんじゃこりゃみたいに思いますけど、読めば読むほどその魅力に憑りつかれて寝ても覚めても鏡花、1週間くらいずっと読み続けるみたいな中毒症状を呈してしまう危ない力があるんですよ。鏡花を研究する人は相当精神が強くないとダメだろうと思いますね。だって耽溺してしまうもんな……。無理無理。
私が最初に読んだのは高野聖で、これはなんか途中の森でヒルが大量に降ってくる描写が素晴らしすぎてメチャクチャ気持ち悪かったです。鏡花作品によく出てくる不思議な力を持った綺麗な女の人の印象よりもヒルの印象の方が強いくらいで読むのやめようかと思った。
次に読んだのが『化鳥』という話です。これは結構短くて割と読みやすいので初心者にはいいと思うんですよ。私はこれでハマりました。
全編を通して少年の語りで進行していくのでほとんど全部台詞みたいな感じです。だから余計に鏡花のリズムの良さというのが際立って、するする読めてしまうんですよね。最近絵本にもなったのでそっちも読んでみたいです。
冒頭の文章は

愉快おもしろいな、愉快いな、お天気が悪くって外へ出て遊べなくってもいや、笠を着て、みのを着て、雨の降るなかをびしょびしょ濡れながら、橋の上を渡ってくのは猪だ。

なんですが、もうここだけで茶碗3杯いける。
こんな文章が延々続くわけです。ここまで美しさに特化した日本語を滝のように浴びせられているとだんだん気が狂ってくるんですよ。なんだかわからない話だけれどただただ美しくて、幻想的で、何が現実で空想なのかもどうでもよくなるくらいに美しさの中に溺れてしまうような世界があるんです。
もちろん話自体も読み解こうと思えば色々と考察の余地はあるんですけど、それ以上に言葉そのものに魅力がありすぎる。日本語を母語に持ちながらこれを読まないという選択肢はほぼないです。中島敦も「読んで良いことはあっても悪いことはない」とか言ってるし……。べた褒めじゃん……。


それから鏡花作品に欠かせない要素と言えば、まず人智を超えた何か。
それは幽霊や妖怪のようなものであるときもあるし、人間の持つ力や人間によって作り出されたものであったりもします。
鏡花はとても信心深く、神仏や霊的なものの存在を強く意識していた人で、自身でも迷信家だと言っています。そういう思想が作品世界にもかなり影響していて、現実と幻想世界が交わるところを多く描いています。

そして、その不思議な存在として現れるのは高確率で美しく、妖しい女性です。
鏡花作品は女が出てからが本編と言っても過言ではないくらい大体綺麗な女の人が話の根幹に関わってきます。
鏡花は幼い頃に母を亡くし、その影響で摩耶夫人(釈迦の母)を特に信仰していたとか、母親の面影を重ねた女性が多く登場するとか言われます。でも母親が生きていた頃に美人のお姉さんを見た記憶がずっと残ってるとか言ってるので生まれ持った性質なんじゃないかとも思います。真相は誰も知らない……。
鏡花の描く女性像は、また多くが強い女性でもあります。世間の流れや周りの環境に抗い、己の信念を突き通そうとする人物であることが多いのは、物語の根底にあるのが近代化とそれまでの社会の対立といった構図であるのが大きいとは思いますが、こういった女性像は作品の魅力のひとつでもあると思います。強い女が好きです。


なお泉鏡花本人も相当面白い話が山のようにあってですね、文豪の中では比較的大人しい方ではあるもののそれなりにヤバいです。
重度の潔癖症だったのは有名ですがそれ以外にも強迫神経症の症状に悩まされること多々あり、紅葉先生がいなかったら死んでたのでは?くらいのことが自身のエッセイで語られています。他にも奥さんのことが大好きすぎるとか、紅葉先生が大好きすぎるとか、紅葉先生を馬鹿にされたからって徳田秋声を泣くまで殴るとか、まあ色々ありますよね。wikiだけでもかなりの情報量が……。
またエッセイが面白くて、私は『いろ扱ひ』が好きなんですけど、これは鏡花の読書遍歴が綴られていて、子供の頃に好きだった本の話や、学校で授業中にこっそり本を読んでいた話、父親に読むなと言われていた本を隠れて読んで叱られた話などなど、まあ色々面白い話がありますよ。読みたい本のレンタル料が高くて払えないからって塾の先生にもらった本か教科書かを売ったりとか結構悪いことしてるな!好きでたまらない本を抱いて寝るのはちょっと気持ちわかる。

あと私が一番脳波を乱された話をしておきますね。
鏡花と仲が良くて挿絵も手掛けていた小村雪岱という画家がいるんですが、その方曰く、「ちょっと勝気な美女が男装したような感じのする」らしいですよ。小村雪岱wikiに書いてあるってそんなことある??とんだ爆弾だよな!ちなみに小村雪岱の絵もすごく素敵なのでぜひ見てほしいです。


本人についても掘り下げようと思えばどこまでも掘り下げられるんですがとりあえずこの辺りにしておいて。
やっぱり日本語が読める人生のうちに泉鏡花は読んでおいた方がいいですよ、絶対。昔の作品ですが、日本語の幅を広げてくれると思うんです。現代に生きて現代の言葉を使う私たちにとっても日本語の奥深さを考えさせてくれて、新しい表現を見つけるきっかけにもなるんじゃないでしょうか。古いからといって読まないのはあまりにももったいない。日本語が好きとか嫌いとか以前に、これを読まないで日本語について語るのはナンセンスであるとさえ思ってしまうような、そういう文章なんです。偉そうにすみません。でも絶対読んでほしい。強い女が好きな人も読んでほしい。
どうですか、最近読む本に悩んでる人、日本語に飽きてきた人、泉鏡花は知ってるけど読んだことないという人。
絶対死ぬまでに泉鏡花を読んでくださいね。中毒には気を付けましょう。それではごきげんよう

コンラート・ファイトをもっと見てくれ。

はじめまして。ブログを書いたことは数回程度で特に何にもなっていないのですが、物は試しで暇もあるし書いておこうと思った次第です。

というのも、去年のいつだかにとある映画俳優にどっぷりハマってネットで色々調べたものの量が少なくてすぐに見るものがなくなってしまい、悲しい思いをしまして。
wikiもあるし日本語のサイトもないわけではないけど少ない。なにより、オタク的パッションに溢れた趣味ブログみたいなものがほとんどない。いやあるにはあるけどあくまで映画のレビューであって俳優のほうにスポットを当てたものは少ないんです。じゃあ自分で書けばいいんじゃないかというDIY的精神と、あわよくばこのブログを見た人がハマってくれないかなという下心もありつつブログを開設しました。


本題。私がハマったとある映画俳優というのはタイトルのコンラート・ファイト氏です。
1893年にベルリンで生まれ、数多くの映画に出演しました。基本プロフィールはwikiを見てもらえればと思います。→wikipedia:コンラート・ファイト

彼の代表作といえばカリガリ博士(1920)です。映画好きならタイトルくらいは知ってるという方も多いと思います。f:id:usaka57:20180118165546j:plain
サイレント映画の中でも名作と言われ、たまにTwitterでも見た、というツイートをしている人がいたり。これだけは見ておけ!的な作品ですね。この作品で彼が演じているのは夢遊病患者のチェザーレ(画像右)。
これがすっっっごくキュート。↑の画像だと「いやいや笑また推しのことすぐかわいいとかいうオタク笑」って感じでしょうけど全編通して見るとかわいい動きとか結構あるんですよ。まあ恐ろしげな雰囲気ではありますが。あとラストのことは書くとネタバレになるので書きませんが、そのラストシーンがめちゃくちゃ美しいのです。
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すごくないですか?花を愛でる男がこんなに美しいなんて。このシーンは素顔に近いメイクなので、本当にかっこいいです。動きはやっぱり尋常じゃないですが。
私はこのシーンで彼に落ちました。これは確かに傑作ですわ……。映画自体も背景が凝っていたり、演出が面白かったり名作と言われるだけのことはあるので是非一度見てみてください。著作権が切れているので各種動画サイトで視聴可能ですし安価な日本語版のDVDも出ています。

若年期のコンラート・ファイトは細くて目力と色気がすごい。ほかの俳優と明らかに雰囲気が違うというか、見てると一発でわかります。妙な空気があるんですよね。
ここで推しておきたいのが1919年公開の『他の人々とは異なって』という作品です。実はこの映画、同性愛について描いた映画で、映画史上初めて同性愛者の役があるともいわれます。
映画の内容はものすごくまじめで、しかも約100年前の映画なのに現代日本よりも同性愛への理解が深いんじゃないかくらいの素晴らしい作品でした。英語なので隅々まで理解したとは言い難いですが。いやほんとすごすぎる映画なんですけど……とにかくコンラート・ファイト氏の色気がすごくてそっちが気になってしまう……。
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左の人もうなんか…色々違わない?右の方もかっこいいですけど左の方……え~っすげぇ……。脳を殴られる感じがありますね……。
これ結末が酷くて救いのないまま終わるし、ファイト氏の役に至っては同性愛に対する差別に苦しんで自殺してしまうんですよ。こんな地獄みたいな終わりある?1週間は引きずるわ。こちらも著作権切れの作品なので全人類見ましょう。そして私と一緒に泣こう。原題の『Anders als die Andern』で検索すると英語版が出ます。DVDは輸入物になるので他の同時期の作品と比べて少々値は張りますがAmazonに出品されていますよ。

さて、コンラート・ファイトの出演作で有名なものとして『笑ふ男』(1928)もあります。この作品ではまさに彼が得意としていたであろう不気味な男、グインプレインを演じています。グインプレインは幼いころに呪いで恐ろしい笑い顔を刻み付けられてしまうのですが、それ故に演技に口元が使えないという。ずっと固定です。しかしここがコンラート・ファイトのすごいところで、口元は笑っているのにそれはもう豊かな感情が見えるわけですよ。特に悲しげな目元。笑っているのに悲しい表情なんです。
この作品はグインプレインも仲間たちもみんないい人で、グインプレインが偉い人の陰謀で厄介なことに巻き込まれても仲間が全力で助けてくれるんです。あとヒロインがかわいい。めっちゃ顔可愛い。ちょっとしたアクションシーンもあってスリラーなビジュアルに反して比較的明るいストーリーです。ミステリー映画ってあるけどどちらかというと活劇なイメージ。

3年後の1931年公開『会議は踊る』。これはトーキー初期の名作としてかなり有名なので知ってる方も多いのではないでしょうか。これはストーリーが良い。そしてヒロインのリリアン・ハーヴェイが快活でかわいいったらない。ハッピーでちょっと切ないラブロマンス。
ファイト氏はメッテルニヒ役で出演しています。メッテルニヒ。色男で浪費家だけど優秀な外交官。こういう役も良い……。公開当時で38歳ですからおじさまという感じですね。基本ロシア皇帝をなんとか嵌めてやろうという悪役ですがなんともチャーミング。最初のシーンで寝間着?で優雅に朝食を召し上がっているところも、部下たちの会話を盗聴してにやにやしているところも、ロシア皇帝がなかなか罠にはまらなくてプンスコしているところもキュート。これはトーキーなのでしゃべってますよ!こんなお声なんですね……!個人的に嬉しそうに喋っている声が本当に嬉しそうで好きです。DVDも出回っていますしそういった意味でも見やすい作品です。劇中歌は日本でもヒットしたとか。

そうそう、忘れるところでした。『裏町の怪老窟』(1924)。これはミステリー?ちょっと雰囲気が怖いです。この映画はオムニバスのような感じで、3つのストーリーが劇中劇として描かれます。その中の一つにイワン雷帝の役で出てくるのがファイト氏。この役は素直に怖い。異様な雰囲気はさすがといったところですね。しかしこの役、髪型が壊滅的に似合わないと思うんですが……。余談ですがVHSのパッケージが怖すぎてビビりました。

最後に私のイチ押し、『私と女王様』(1933)を紹介したいと思います。
これは『会議は踊る』にも出演したリリアン・ハーヴェイ演じるジュリエットとコンラート・ファイト演じる侯爵様のラブコメディです。
ありがとう……。涙が出そうだ。いや泣いた。もう素敵すぎる……。内容はベッタベタなラブコメですけど素敵ですよね……。問題は侯爵様の名前が読めない(Marquis de Pontignac……ポンティナック侯爵ですかね、ポンテアナクと書いてあるのもあるけれど…)ことですね。
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見てくださいこの気品あふれる佇まい。完璧に素敵な侯爵様ですよ。モノクルなんかつけちゃって……。
しかしこの侯爵様、いまいちおっとりしたというか、抜けてるところがあるというか……。狩りに行って落ちてた靴下留め、そんなに嬉しそうに拾うなよ!しかもそのまま落馬して昏睡状態に陥るという間抜けっぷり。靴下留めはしっかと握ったまま。アホなのでは……。
そんなマイペースで素敵な侯爵様、靴下留めを取りに来たジュリエットを夢に出てきた初恋の人と勘違いして口説き始め歌を歌ってくれとせがむ。ジュリエットも困惑。しかし歌ってあげる優しいジュリエット。リリアンちゃんはかわいい。本当にかわいい。
その割に侯爵様はあっさり別の女を歌の女性だと勘違いするし。ジュリエットがかわいそうすぎる。
結局最後はジュリエットとくっついてハッピーエンドなのでよかったよかった。最後の演出がまたロマンチックでかわいらしい。少女漫画みたいですね。だいぶ年の差だけど。

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女の争いに戸惑う侯爵様
いろんなサイトのあらすじにはジュリエットが歌うのを聞いて誤解が解けるって書いてるけど侯爵が気づいたのは楽譜を受けとったシーンですよね……。じゃないとそのあとの男爵との会話が成り立たないし。ジュリエットを今度こそ口説いてるし。
昭和10(1935)年リリアン・ハーヴェイ主演映画日本興行記 ドイツ映画『私と女王様』、『恋は道化師』(未上映)、アメリカ映画『今宵も楽しく』furuidoitsueiga.wordpress.com
こちらのサイト様に載っている新聞記事に当時の宝塚の生徒の感想が載ってますが、すごく共感しました。
ロマンチックね!!と興奮したとのことですがわかる~~!リリアン・ハーヴェイの演技は底抜けに明るくて朗らかで本当にかわいらしいです。小ネタもありつつ楽しい作品ですよ!YouTubeだと字幕が出るので良いですが画面の上下が見切れているのが惜しい……。デイリーモーションは見切れていませんが字幕がないんですよね。DVDが切実に欲しいのですが……見つからない。レーザーディスクとかでもいいからないのかな。


さて、長々と紹介してきたわけですが、かくいう私もまだまだ勉強中で、意外と有名作を見ていなかったりします。『カサブランカ』にも出演しているらしいのですがまだ見てません。すいません。だけどコンラート・ファイトはほんっとうに良い……!美男子もしくは海外のオジサン俳優がお好きな方なら高確率で好きだと思うのですがどうでしょう。Twitterで検索すると好きだっていう方もお見かけするんですけど。(是非お話ししたいです)もし、もしこのブログを見てちょっと興味出てきたなとか、もともと興味ある方もわかる!と思ってもらえたら嬉しいです。Twitterのアカウント書いておくので気軽に話しかけてください。待ってます。マジで。
うさか (@usaka57) | Twitter

ここまで読んでくださってありがとうございました。