コンラート・ファイトをもっと見てくれ。

はじめまして。ブログを書いたことは数回程度で特に何にもなっていないのですが、物は試しで暇もあるし書いておこうと思った次第です。

というのも、去年のいつだかにとある映画俳優にどっぷりハマってネットで色々調べたものの量が少なくてすぐに見るものがなくなってしまい、悲しい思いをしまして。
wikiもあるし日本語のサイトもないわけではないけど少ない。なにより、オタク的パッションに溢れた趣味ブログみたいなものがほとんどない。いやあるにはあるけどあくまで映画のレビューであって俳優のほうにスポットを当てたものは少ないんです。じゃあ自分で書けばいいんじゃないかというDIY的精神と、あわよくばこのブログを見た人がハマってくれないかなという下心もありつつブログを開設しました。


本題。私がハマったとある映画俳優というのはタイトルのコンラート・ファイト氏です。
1893年にベルリンで生まれ、数多くの映画に出演しました。基本プロフィールはwikiを見てもらえればと思います。→wikipedia:コンラート・ファイト

彼の代表作といえばカリガリ博士(1920)です。映画好きならタイトルくらいは知ってるという方も多いと思います。f:id:usaka57:20180118165546j:plain
サイレント映画の中でも名作と言われ、たまにTwitterでも見た、というツイートをしている人がいたり。これだけは見ておけ!的な作品ですね。この作品で彼が演じているのは夢遊病患者のチェザーレ(画像右)。
これがすっっっごくキュート。↑の画像だと「いやいや笑また推しのことすぐかわいいとかいうオタク笑」って感じでしょうけど全編通して見るとかわいい動きとか結構あるんですよ。まあ恐ろしげな雰囲気ではありますが。あとラストのことは書くとネタバレになるので書きませんが、そのラストシーンがめちゃくちゃ美しいのです。
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すごくないですか?花を愛でる男がこんなに美しいなんて。このシーンは素顔に近いメイクなので、本当にかっこいいです。動きはやっぱり尋常じゃないですが。
私はこのシーンで彼に落ちました。これは確かに傑作ですわ……。映画自体も背景が凝っていたり、演出が面白かったり名作と言われるだけのことはあるので是非一度見てみてください。著作権が切れているので各種動画サイトで視聴可能ですし安価な日本語版のDVDも出ています。

若年期のコンラート・ファイトは細くて目力と色気がすごい。ほかの俳優と明らかに雰囲気が違うというか、見てると一発でわかります。妙な空気があるんですよね。
ここで推しておきたいのが1919年公開の『他の人々とは異なって』という作品です。実はこの映画、同性愛について描いた映画で、映画史上初めて同性愛者の役があるともいわれます。
映画の内容はものすごくまじめで、しかも約100年前の映画なのに現代日本よりも同性愛への理解が深いんじゃないかくらいの素晴らしい作品でした。英語なので隅々まで理解したとは言い難いですが。いやほんとすごすぎる映画なんですけど……とにかくコンラート・ファイト氏の色気がすごくてそっちが気になってしまう……。
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左の人もうなんか…色々違わない?右の方もかっこいいですけど左の方……え~っすげぇ……。脳を殴られる感じがありますね……。
これ結末が酷くて救いのないまま終わるし、ファイト氏の役に至っては同性愛に対する差別に苦しんで自殺してしまうんですよ。こんな地獄みたいな終わりある?1週間は引きずるわ。こちらも著作権切れの作品なので全人類見ましょう。そして私と一緒に泣こう。原題の『Anders als die Andern』で検索すると英語版が出ます。DVDは輸入物になるので他の同時期の作品と比べて少々値は張りますがAmazonに出品されていますよ。

さて、コンラート・ファイトの出演作で有名なものとして『笑ふ男』(1928)もあります。この作品ではまさに彼が得意としていたであろう不気味な男、グインプレインを演じています。グインプレインは幼いころに呪いで恐ろしい笑い顔を刻み付けられてしまうのですが、それ故に演技に口元が使えないという。ずっと固定です。しかしここがコンラート・ファイトのすごいところで、口元は笑っているのにそれはもう豊かな感情が見えるわけですよ。特に悲しげな目元。笑っているのに悲しい表情なんです。
この作品はグインプレインも仲間たちもみんないい人で、グインプレインが偉い人の陰謀で厄介なことに巻き込まれても仲間が全力で助けてくれるんです。あとヒロインがかわいい。めっちゃ顔可愛い。ちょっとしたアクションシーンもあってスリラーなビジュアルに反して比較的明るいストーリーです。ミステリー映画ってあるけどどちらかというと活劇なイメージ。

3年後の1931年公開『会議は踊る』。これはトーキー初期の名作としてかなり有名なので知ってる方も多いのではないでしょうか。これはストーリーが良い。そしてヒロインのリリアン・ハーヴェイが快活でかわいいったらない。ハッピーでちょっと切ないラブロマンス。
ファイト氏はメッテルニヒ役で出演しています。メッテルニヒ。色男で浪費家だけど優秀な外交官。こういう役も良い……。公開当時で38歳ですからおじさまという感じですね。基本ロシア皇帝をなんとか嵌めてやろうという悪役ですがなんともチャーミング。最初のシーンで寝間着?で優雅に朝食を召し上がっているところも、部下たちの会話を盗聴してにやにやしているところも、ロシア皇帝がなかなか罠にはまらなくてプンスコしているところもキュート。これはトーキーなのでしゃべってますよ!こんなお声なんですね……!個人的に嬉しそうに喋っている声が本当に嬉しそうで好きです。DVDも出回っていますしそういった意味でも見やすい作品です。劇中歌は日本でもヒットしたとか。

そうそう、忘れるところでした。『裏町の怪老窟』(1924)。これはミステリー?ちょっと雰囲気が怖いです。この映画はオムニバスのような感じで、3つのストーリーが劇中劇として描かれます。その中の一つにイワン雷帝の役で出てくるのがファイト氏。この役は素直に怖い。異様な雰囲気はさすがといったところですね。しかしこの役、髪型が壊滅的に似合わないと思うんですが……。余談ですがVHSのパッケージが怖すぎてビビりました。

最後に私のイチ押し、『私と女王様』(1933)を紹介したいと思います。
これは『会議は踊る』にも出演したリリアン・ハーヴェイ演じるジュリエットとコンラート・ファイト演じる侯爵様のラブコメディです。
ありがとう……。涙が出そうだ。いや泣いた。もう素敵すぎる……。内容はベッタベタなラブコメですけど素敵ですよね……。問題は侯爵様の名前が読めない(Marquis de Pontignac……ポンティナック侯爵ですかね、ポンテアナクと書いてあるのもあるけれど…)ことですね。
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見てくださいこの気品あふれる佇まい。完璧に素敵な侯爵様ですよ。モノクルなんかつけちゃって……。
しかしこの侯爵様、いまいちおっとりしたというか、抜けてるところがあるというか……。狩りに行って落ちてた靴下留め、そんなに嬉しそうに拾うなよ!しかもそのまま落馬して昏睡状態に陥るという間抜けっぷり。靴下留めはしっかと握ったまま。アホなのでは……。
そんなマイペースで素敵な侯爵様、靴下留めを取りに来たジュリエットを夢に出てきた初恋の人と勘違いして口説き始め歌を歌ってくれとせがむ。ジュリエットも困惑。しかし歌ってあげる優しいジュリエット。リリアンちゃんはかわいい。本当にかわいい。
その割に侯爵様はあっさり別の女を歌の女性だと勘違いするし。ジュリエットがかわいそうすぎる。
結局最後はジュリエットとくっついてハッピーエンドなのでよかったよかった。最後の演出がまたロマンチックでかわいらしい。少女漫画みたいですね。だいぶ年の差だけど。

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女の争いに戸惑う侯爵様
いろんなサイトのあらすじにはジュリエットが歌うのを聞いて誤解が解けるって書いてるけど侯爵が気づいたのは楽譜を受けとったシーンですよね……。じゃないとそのあとの男爵との会話が成り立たないし。ジュリエットを今度こそ口説いてるし。
昭和10(1935)年リリアン・ハーヴェイ主演映画日本興行記 ドイツ映画『私と女王様』、『恋は道化師』(未上映)、アメリカ映画『今宵も楽しく』furuidoitsueiga.wordpress.com
こちらのサイト様に載っている新聞記事に当時の宝塚の生徒の感想が載ってますが、すごく共感しました。
ロマンチックね!!と興奮したとのことですがわかる~~!リリアン・ハーヴェイの演技は底抜けに明るくて朗らかで本当にかわいらしいです。小ネタもありつつ楽しい作品ですよ!YouTubeだと字幕が出るので良いですが画面の上下が見切れているのが惜しい……。デイリーモーションは見切れていませんが字幕がないんですよね。DVDが切実に欲しいのですが……見つからない。レーザーディスクとかでもいいからないのかな。


さて、長々と紹介してきたわけですが、かくいう私もまだまだ勉強中で、意外と有名作を見ていなかったりします。『カサブランカ』にも出演しているらしいのですがまだ見てません。すいません。だけどコンラート・ファイトはほんっとうに良い……!美男子もしくは海外のオジサン俳優がお好きな方なら高確率で好きだと思うのですがどうでしょう。Twitterで検索すると好きだっていう方もお見かけするんですけど。(是非お話ししたいです)もし、もしこのブログを見てちょっと興味出てきたなとか、もともと興味ある方もわかる!と思ってもらえたら嬉しいです。Twitterのアカウント書いておくので気軽に話しかけてください。待ってます。マジで。
うさか (@usaka57) | Twitter

ここまで読んでくださってありがとうございました。